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sugai@ WebPay

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次にヒットするのはこの分野?日本にまだ無いFinTechサービス

年々盛り上がっている市場として、FinTechと呼ばれる分野があります。この記事では、海外で流行しているものの日本にはまだ上陸していないFinTechサービスを紹介します。

FinTechって?

FinTechは、FinanceとTechnologyを合わせた造語です。金融とITを組み合わせたサービスを展開するスタートアップが増えていて、ここ数年世界中で注目を集めています。FinTechスタートアップを後押しするように投資額も年々増えていて2013年には30億ドルに達しました。2018年には倍の60億ドルから80億ドルに達するという予測があります。

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([PDF注意] http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-Rise-of-FinTech-New-York.pdf 参照)

世界の中でも盛り上がりを見せているのは、アメリカとイギリスです。ニューヨークとロンドンという巨大な金融センターを持つ2つの国が、FinTechの中でも盛り上がっているのは納得がいくと思います。

ジャンルごとのFinTechサービス

Investing in FinTech: Trends in financial technology for investors and entrepreneursによれば、FinTechには以下の分野があると示されています。

  • 融資(Lending)
  • 個人の資産管理(Personal Finance)
  • 決済(Payments)
  • 個人投資(Retail Investments)
  • 会計
  • 仮想通貨
  • 機関投資家による投資(Institutional Investments)
  • 資金調達(Equity Finance)
  • 送金(Remittances)
  • 個人のための銀行(Consumer Banking)
  • 金融の調査(Financial Research)
  • 銀行インフラ(Banking Infrastructure)

(資金調達(Equity Finance)分野については、サービスよりもコミュニティやベンチャーキャピタルの性質が強いため、この後の紹介では省略します。また、会計と仮想通貨の分野を追加しました。)

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それぞれの分野での代表的なサービスを取り上げます。 FinTechとは元々、金融機関向けのサービス開発を提供する大規模ベンダーのことを指す言葉であったようです。しかし、最近では金融分野にITでイノベーションをもたらしているスタートアップのことを指すことが多いです。そのため、ここではスタートアップのみを取り上げたいと思います。

融資

融資を受けたい人と、投資したい人をマッチングするサービスの分野です。ソーシャルレンディングなどと呼ばれます。人と書きましたが、個人だけでなく法人も対象になっています。融資と投資のどちらにも言えることです。

個人の資産管理

個人の資産管理を手助けしてくれるサービスです。金融機関から自動的に入出金の記録を取得するものや、家計簿アプリがこの分野に入ります。

決済

決済機能を提供するサービスです。スマートフォンをクレジットカード決済端末にするモバイル決済や、決済代行などがこの分野に入ります。

個人投資

オンラインでの個人投資プラットフォームや、投資アドバイスなど、個人投資を手助けしてくれるサービスがこの分野に入ります。

会計

企業や個人事業主の会計を助けるサービスがこの分野に入ります。金融機関やクレジットカードの明細を自動で取得し、自動仕分けを行ってくれるサービスがあります。

仮想通貨

bitcoinやrippleといった仮想通貨に関連するサービスの分野です。

機関投資家による投資

機関投資家が投資する際の意思決定を助けるサービスはこの分野に入ります。投資家とトレーダーのSNSやオープンな株価予想プラットフォームなどがあります。

  • 世界のスタートアップ: Addepar
  • 日本のスタートアップ:

送金

国際送金やP2P送金など、送金に関わるサービスの分野です。 スタートアップとは関係ありませんが、イギリスで広まりつつあるPaymについても触れたいと思います。Paymは携帯電話番号だけでP2P送金(個人間送金)ができるサービスです。イギリスには、Faster Paymentsと呼ばれるリアルタイム決済サービスがあり、支払いと送金を行えます。PaymはFaster Paymentsを基盤として利用し、携帯電話の個人認証はPaymに対応する銀行の送金アプリが行っています。 日本では、楽天銀行がFacebookの友達へ送金できるサービスを始めましたし、LINE Payも個人間送金に対応するそうです。日本でもP2P送金が当たり前の世界になって欲しいですね。

個人のための銀行

個人のための使いやすい銀行サービスがこの分野に入ります。Simpleは店舗がなく、オンライン専用の銀行です。口座維持手数料を含め、ほとんど手数料無料で使うことができます。手数料無料で使えるATMは55,000を超えていますし、費目の自動振り分けを行ってくれるので資産管理もできてしまいます。スマートフォンアプリを含めて、画面のデザインは洗練され、操作性が追求されています。スペインの大手銀行であるBBVAに、1億ドル以上で買収されています。使いやすい銀行への期待度を表しているように思えてなりません。

  • 世界のスタートアップ: Simple
  • 日本のスタートアップ:

金融の調査

金融や経済、企業の情報を収集するためのサービスがこの分野に入ります。

銀行インフラ

銀行のデータにアクセスするためのAPIを提供しているサービスがこの分野に入ります。 なお、ベルリンでは、銀行のためのオープンソースAPIとアプリストアを提供するOpen Bank Projectという取り組みがあります。銀行のレガシーなITシステムをOpen Bank ProjectのAPI(OBP API)がラップする形で提供され、OAuthにより認証を行います。 OBP APIと、アプリストアを利用してFinTechのサービスを作ることができます。大変な作業である銀行とのつなぎ込みをOpen Bank Projectが担ってくれるという形ですね。実際にこの仕組を利用していくつかサービスが生まれているようです。

Open_Bank_Project_For_Banks.png

(https://openbankproject.com/for-banks/ 参照)

  • 世界のスタートアップ: Plaid
  • 日本のスタートアップ: なし

日本にまだないFinTechサービス

日本にはまだ、「個人のための銀行」、「銀行インフラ」、「機関投資家による投資」といったFinTechサービスはないようです。「送金」分野についてもスタートアップからは出ていません。俯瞰すると、銀行の基本的な機能に関係する分野が空白に見えます。

「個人のための銀行」の分野について見て行きましょう。 銀行のWebサイトや、ATMの操作性にうんざりしたことがある人は多いと思います。銀行のUIやユーザー体験については課題が多く残されたままです。Fintech Venture Meetupでのパネルディスカッションでも話がありましたが、FinTechは規制業種で参入障壁が高そうに見えるが故に、顧客目線を持っているだけで差別化できる分野です。Webエンジニアが当たり前と思っているUIやユーザー体験をこの分野に持ち込むことができれば、利便性の向上につながるでしょう。

次に、「銀行インフラ」や「送金」の分野について見て行きましょう。 P2P送金や、銀行のAPI提供など、世界の金融ITは順調に最新技術を取り込んでいます。一方、日本の金融ITは改革されずに取り残されている状況です。([PDF注意]http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/data/rel141111a1.pdf)

日本銀行のITを活用した金融の高度化に関するワークショップによると、日本の金融ITが抱えている課題には以下の問題があります。

  • 精緻な仕組みが大型化、複雑化し維持コストが増大。コンプライアンス等により複雑度も増大
  • 24時間365日の送金に対応していない

この課題は、まさに「銀行インフラ」や「送金」ジャンルでのイノベーションを阻害している要因でしょう。

FinTechを通して、日本の金融ITについての現状を確認しました。課題は山積しているものの、金融は個人の生活に密着したものであるため、状況が改善されれば多くの人を幸せにできることでしょう。